1. 研究の背景・目的

目的は睡眠に対する意識向上を促すことだ。

「睡眠」についてのデータや統計を知ってもらい、睡眠が及ぼす健康への影響、質の良い睡眠をとるための方法を紹介し、日常で疲労感を感じている人に眠る事に対する意識向上を促すきっかけを作ることが目的である。背景は睡眠に関する知識の周知だ。 日本の睡眠に対する意識調査で「睡眠が大切なのはわかってるけど、具体的にどうしたらいいかわからない」といった意見が多く見られた。睡眠をなんとなく認識している人に「睡眠の正しい知識と習慣」を身につける事で身体にさまざまなメリットがあるという事を多くの人に広めていきたいと感じ、インフォグラフィックスアニメーションを活用し情報を発信していこうと 思った。

  1. 調査

(1) 日本人の睡眠時間

日本人の睡眠時間が低いという研究結果がある。日本睡眠学会の分析によると、睡眠とは人にとって必要不可欠であり睡眠欲は生理的欲求の一つである。睡眠不足は心身にとってストレスとなり、不眠症など睡眠に関する様々な問題は睡眠障害と総称される。

世界の2600 万人以上のユーザーの有効睡眠サンプル数を分析していたZepp Health Corporation ( ゼップヘルスコーポレーション) という世界グローバル企業の2021 年の睡眠統計データ(図1)によると、日本人の平均睡眠時間は6 時間44 分で世界的ワースト2 位にランクインしている。 この結果は日本人の働き方やスマートフォン等の電子機器の普及といったさまざまな要因が示唆されるが、もう一つの原因として上げられるのが、日本人の睡眠に対する意識の低さだ。海外では子供から高齢者まで対象別に睡眠教育が行われていることも珍しくないが、日本では幼稚園から大学までどの段階を見ても、専門学部を除くと系統的な睡眠教育が行われていない事が意識低下の原因であると考えられている。

(2) 先行事例

日本人の利用ユーザーが多い動画共有プラットフォーム「YouTube」で睡眠に関する動画の先駆事例を調査を行ったところ約30本ほど見つかった(図2 )。睡眠に関する統計データなどを取り扱った動画で一番視聴回数が多い動画は300万回となっていた。また雑学や心理学、統計学などを元に入眠方法や睡眠の重要性などをエンターテイメント性をもって紹介している動画が伸びている傾向にあった。しかし現状アニメや漫画を用いた動画は多く見られたが、インフォグラフィックアニメーションを使用している事例はなかった。

(3) 技術

今回の研究で用いる インフォグラフィック(infographics)とは、文字や数値などの情報を図・イラスト・写真などを使ってわかりやすく表現したものを指す。睡眠に関する統計データや雑学といった情報を分かりやすく第三者に紹介するためにインフォグラフィックは最適であると考えた。今回はAdobe のIllustrator でキャラクターや全体のデザインを行いAfter effect を用いてアニメーションをつけていこうと思う。

  1. 制作

(1) コンセプト

睡眠に関しての興味を持つ人は私の制作した動画ではなく既存の信頼できる投稿者の動画で詳しい情報を得るはずだ。私の今回の研究の目的は睡眠に対する意識向上を促すきっかけを作ることだ。そのため現状、睡眠に対しての意識が低い人に向けてどうやってアプローチしていくのかが重要な鍵になってくる。そこで自身で検索して視聴する動画サイトではなくランダムに世界中の人の動画が流れてくる動画投稿アプリを公開場所に定めて、最大3分の動画を投稿できるTikTokというアプリで縦型動画の投稿を行うことにした。